2011.10.13(木)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 植物工場産の品目

 
今回は、植物工場ではどんな品目を作っているのでしょうか? ということをコメントしてみたい
と思います。
 
私たちは「リーフレタス」「フリルレタス」「サラダ菜」「サニーレタス」「水菜」の5品目を生産して
います。
この他に「試験栽培」として「ルッコラ」「バジル」などの「ハーブ類」、「パセリ」「大葉」なども
作ったことがあります。
 
よく聞かれる質問に「植物工場ではどんな植物が作れるのですか?」とか「なぜレタスを
作るのですか?」というものがあります。
 
これらの質問には「植物工場では作ろうと思えば何でもできます」と答えます。
これに加えて「生産効率や商売上を考えると「葉物野菜」(レタスなど)になります」と答えています。
実際に私たちでも「かぶ」(根菜類)を作ったこともありますし、大手町の地下で生産している
パソナは「稲(米)」を作っています。
 
「作ろうと思えば作れる」のと、「効率的に」とか「売れる品目」を作るという観点では違ってくるの
です。
私たちのレタスは「無農薬」です。露地栽培で「無農薬」を商業的に作るのは現実的には難しい
ので、露地野菜と競合しない「無農薬レタス」を作っているのです。
 
また、「低細菌」を目指している私たちにとっては「養液(細菌が多い)」を商品に吹きかけるのは
絶対に避けなければならないことなのです。
養液は「根」に吹きかけているので、「商品が根」である「根菜類」では「商品の菌数が高くなる」
という事態が避けられません。
つまり、私たちのセールスポイントのひとつである「低細菌」が根菜類では達成できないのです。
 
「低細菌」で「無農薬」がアピールできる品目を考えると自ずと「葉物野菜」になるのです。
通常の農業(露地栽培やハウス栽培)で比較的多くの農薬を使わざるを得ない品目として
「パセリ」「大葉」があります。これも品目を決める際の重要なポイントです。
 
 

2011.10.12(水)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 植物工場産の品質

 
植物工場の特色は「年間を通して、同じ品質で、同じ価格で、計画的に納入」するという
ものです。この特徴は「業務用」の方には非常に評価されます。
家庭用などでは「旬を感じられない」ということになり否定的に取られることもあります。
 
一方で、私たちの野菜は「無農薬」「低細菌」「低硝酸」を PRポイント にしています。
 
露地で栽培される「葉物野菜」では、実質的に「無農薬」を商業生産することはできません。
努力している農家の方でも「低農薬」です。
その点で「葉物野菜」で無農薬にすることは、露地野菜との競争をしないということです。
 
「低細菌」については、「1g当」の「一般生菌数(いわゆる雑菌)」の数で表します。
通常の露地野菜は「10の6乗個(100万個)」単位の雑菌がいます。500万個や700万個と
いうレベルです。
その露地野菜を「次亜塩素酸ナトリウム」という強烈な塩素で殺菌して「10の4乗個」まで
減らせると言われています。このレベルが厚労省が食品産業に指導しているものです。
 
私たちの野菜は「10の3乗個」のレベル以下ですと説明しています。
実際に分析すると「10の2乗個」レベルが大半です。200個とか500個とかいうレベルです。
だから、「殺菌」や「洗浄」をしなくても使用できるレベルなのです。
他の植物工場でも私たちのレベルで細菌をコントロールしているところはないと思います。
通常は「10の4乗」レベルだと聞いています。それでも露地に比べると「低細菌」です。
 
最後に、「低硝酸」です。
この硝酸塩は味の観点からいくと「エグミ」(嫌な苦み)の基です。
通常の露地栽培のレタスが「4000~5000ppm」のところ、私たちのレタスは「2500ppm」を
切るレベルです。この違いは食べて貰うと「エグミのないおいしいレタス」と評価して貰えます。
硝酸塩を意図的に低く抑える作業をしているのは多分私たちの会社だけだと思います。
 
このように植物工場では、品質について栽培工程で工夫することが可能なのです。
将来的には「更に付加価値の高い」野菜を目指して努力をしていきたいと思います。
 
 

2011.10.11(火)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 植物工場産の流通

 
今回は植物工場産野菜の流通方法についてコメントしてみたいと思います。
 
私たちの野菜はいわゆる「青果市場」には全く出荷していません。
JAについても直売所も含めて全く出荷していません。
ホテルやレストランに直接納入しています。いわゆる「直売方式」ですね。
百貨店やスーパー向には「帳合」と呼ばれる業者を通している場合もありますが、野菜自体は
ほとんど各店舗や物流センターに直接納入しています。
 
通常の農家の方は、JAに納入して、青果市場で売買されています。
これが従来から行われている青果物の流通形態です。
最近は農業法人が直接スーパーやレストランに販売するという形式も増えてきましたが、
まだまだ大半の農家はJA流通です。
 
私たちはJAを否定するつもりは全くありませんが、最終消費者に届くまでに多くの業者が
介入することに抵抗感があります。
また、出荷する際に価格が決まっていないという商売には大きな違和感があります。
自分たちが作ったものには自分たちが価格を決めたいという気持ちが強くあります。
 
野菜に限らず、食料品やその他の消費財でも流通が複雑だというのは日本の特徴だと
思います。これからは徐々にではあるでしょうが、変わっていくと思います。
 
 

2011.10.08(土)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 植物工場産の価格その2

 
前回は露地野菜との価格比較についてコメントしましたが、今回は植物工場産の価格でも
本当に高いのかという観点からコメントしてみたいと思います。
 
この問題は「歩留まり」と「使い勝手」という2つのポイントで考えます。
 
まずは「歩留まり」です。
私たちの野菜は、家庭でもレストランの厨房でも袋から出してほとんど全部使えます。
通常の露地野菜は「外葉」や「おに葉」と言われるものが付いているので、取りながら内側の
部分を使います。到着した時の状態に寄るのですが、この量が案外多いのです。
 
業務用などでは「外葉をはずし」「異物除去」のための洗い」「殺菌」「水切り」などをしていくと
歩留まり50%程度だと言われています。状態の悪い時は40%を切る場合もあるそうです。
家庭用でもかなりの「廃棄」が起こります。
廃棄した部分もお金を払っていたわけですから50%廃棄なら、使っている部分の価格は2倍
です。
 
次は「使い勝手」です。
私たちの野菜は「低細菌」なので、一般生菌数という観点からは露地野菜を「殺菌剤で洗った
もの」よりも細菌数が少ないのです。洗わずに使えるのです。
このために、洗う「手間が省ける」というばかりにでなく、水っぽくないパリパリしたレタスを
食べられます。
 
家庭用では「お母さん」が手間をかけてくれた「愛情の詰まった」料理が評価されますが
業務用では「省力化」するということも非常に重要なことです。
厨房の人数も昔ほど多くないので「使い勝手」が良いということは評価されます。
 
「歩留まり」で2倍の価格までは受入られる、「使い勝手」の良さで省力化できる。
それに加えて、私たちのアピールしている「無農薬」と「おいしい(低硝酸)」という高品質を
どう評価するかとなります。
 
決して「高い」ことはないという考え方もできます。
実際に私たちのレタスを大量に使ってくれているシェフの中には「最初は高いと思ったけれど
使っていると必ずしも高い感じがしなくなった。むしろ安いくらいだね。」と涙が出るようなことを
言ってくれるシェフもいます。ありがたいことです。
 
 

2011.10.08(土)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 植物工場産の価格その1

 
植物工場で生産される野菜の価格は一般的には露地野菜に比べて高いと言われています。
露地野菜の3倍くらいだという人が多いようです。
 
植物工場は「初期投資」が大きく、運営コストも「人件費」「電気代」「輸送費」などがかかるので
高くならざるを得ないということは事実です。
露地野菜に比べて3倍くらいというのも「そうかな・・・」という感じです。
 
「そうかな・・・」という意味は「露地野菜」のコストは本当なのだろうか?という疑問があるのです。
普通の農家は「人件費」を本当にきちんと計算しているのでしょうか? 初期投資(農地の購入)は
きちんと計算しているのでしょうか?
そして、決定的なのは「コストを計算して価格を決めているのだろうか?」ということです。
 
普通の農家(農業法人で大規模経営をしているところは別)は、野菜をJAに出荷して、JAは
市場に繋いで、市場はセリで価格を決めてという仕組みです。
農家は出荷した時点で「価格がいくらなのか?」が分かりません。
市場の相場で「いくらになった」と後で知らされるのです。
 
その「相場の価格」は「生産コスト」とは全く「関係ない」のです。
だから、相場が下がって輸送費も出ないからと「畑でキャベツをつぶしている」という光景が
テレビなどで放送されるのです。
 
何もこの構造は日本だけの問題ではありません。
農業先進国であるアメリカの農家だって「シカゴ相場」で売らざるをえないの同じです。
それでもアメリカの農家はインターネットを使い「シカゴ相場」を見ながら自分で保管する穀物を
「いつ出荷するか」を決めています。
インターネットが普及する前でも「衛星通信」を使って相場を見ているのを若き日の筆者は実際に
見ています。郊外の農家には大きなパラボラアンテナがありました。
 
もちろん、鮮度が命のレタスなどの野菜は出荷のタイミングを決めるのに限界があるのも事実です。
でも、農家の方が自分たちの生産物の価格を自分たちが関与して決めていこうという態度は
日本とはかなり違うと感じています。
 
自分たちで生産したものの価格は自分たちで決めたいというのは自然なことだと思います。
日本でも大きな農業法人ではJAを通さない直接販売で価格交渉を自分でしているところが
出てきています。
ここではJAの存在が大きな「意味」を持ってくるのだと思います。