2011.04.29(金)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業への投資 販売価格

 
前回の「農業への投資」では農業(特に露地栽培)の「不確定要素」として「天候」を挙げました。
今回は生産物の「販売価格」を挙げてみたいと思います。
 
従来の農業は生産された農産物を「農協」「青果市場」を通して販売しています。
この仕組だと出荷時点で販売価格が分かりません。
出荷時点で分からないということは、当然ですが生産を始める時やどんな品目を生産するかと
いう計画段階で「いくらで売れるか?」は分からないということです。
 
通常の工業生産品では生産段階から「いくらで売れるか(予算)」、「いくらで売るか(意志)」と
いう非常に重要なポイントについて計画が立っています。
ところが、従来の農業では「いくらで売れるか(予算)」「いくらで売るか(意志)」は全て「青果市場」
に任せているのです。売れてから「いくらでしたよ(過去形)」と連絡が来るのです。
つまり「あなた任せ」なのです。
 
自分たちで「販売価格」を決めらないシステムなのです。
それに加えて、市場の「需要と供給」という「美しい言葉」に操られて「価格が大幅に上下」します。
自分たちに「価格決定権」がなく、価格も相場で「乱高下」しかねないという非常に不確定要素の
多い販売形態なのです。
 
これでは生産計画で利益を予算化することは不可能です。
このような工業生産では信じられないことが農業の世界では「当たり前」だと信じられてきました。
それでも最近は「農業法人」を中心に「市場を通さない」で需要家に直接販売する方法が少しづつ
採られるようになってきました。 農協の直売所を通した販売も価格決定権は農家ですね。
 
他産業から農業へ投資する際に、この「価格決定権」を農業者が有していることが次の重要な
ポイントですね。
 
 
 
 

2011.04.28(木)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業への投資 天候

 
今回は農業分野への投資について筆者の意見を述べたいと思います。
私たちは株式会社なので、私たちに投資してくれた株主がいます。
このように農業に従事する株式会社に投資する場合と農地を買ったり借りたりして農作業を
自分で行うのも広義の農業への投資だと思います。
 
投資をする際には「なるべく不確実な要素」を排除したうえで投資を行うのが基本です。
この点において「農業」はちょっと他の業種とは違います。
つまり、自然環境の中で生産活動をする露地栽培では「天気」に左右される割合が非常に高い
のです。もちろん、他の業種にも「天気」に影響されるものはあります。
 
建設業なども「天気」に左右されるものです。
落語の話に「大工殺すにゃ刃物は要らぬ。雨の10日も降ればよい。」というのがあります。
これは昔の話ですから「宵越しの金は持たない」という江戸の職人は10日も収入がなければ
食えなくなってしまうという例ですが、今でも建設業の人は雨が降るとスケジュールが遅れる
ということは良くあります。そのために、スケジュールにはある程度の余裕を持たせているのです。
 
しかし、露地の農業はもっと天気に影響を受けるのです。
「雨が少ない」と乾燥しますし、「雨ばかり降る」と農作業が進まない、「気温が低い」と植物の
成長が遅くなり、「気温が高すぎる」と成長に異常(徒長しすぎるなど)が出ます。
そして、台風や「遅霜」「早霜」で収穫が大きく影響を受ける。
建設業と決定的に違うのは「成長が遅れる」と季節が変わってしまうために収穫量に大きく影響
することです。
建設業では「スケジュールが遅れた」ことにより施主(注文者)への納入が遅れるのですが、建物が
不完全になってしまうということはないと思います。
(建設業の方からはそんな甘くないと怒られるかもしれませんが。)
 
農業(特に露地栽培)は非常に微妙なバランスの中で成り立っているのです。
その地域の気候に合った品目を作っているので気候(天気)がいつもの年と違ってしまうと
本来その場所に適した品目が「その年に限っては不適な品目」になってしますのです。
収穫に大きな影響がでるということですね。
天気という「不確定な要素」が大きな影響を与えるのが農業(特に露地栽培)なのです。
 
その点で私たちのような「完全閉鎖型植物工場」は天気の変動には影響を受けません。
その点で従来型の農業とは一線を画していると言えます。

2011.03.04(金)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業雑感 株式会社化

 
農業者の株式会社化について考えてみたいと思います。
この問題を出すと、「株式会社は営利だから儲からないと思うとすぐに農業をやめてしまうので
耕作放棄地が増える」ということをいう人がいます。
また、「転用目的や投機目的で農地を購入する」などという人もいます。
 
筆者はこれらの問題は株式会社だけにある問題だとは思いません。
これらは農地の売買をある程度規制することで避けられると思います。
 
株式会社化することは上記のような問題よりも、次のようなメリットの方が多いと思います。
1.生産コストが明確になる。特に人件費。
2.資本と労働が区別されるために新規就農者が増える。
3.耕作地の拡大が容易になる。(生産受託等)
4.農業機械の効率的活用がしやすくなる。(大規模化も含めて)
5.農業者の労働条件が明確になる。
6.直売ルート開発などの販売方式の多様化が図れる。
7.大型投資がし易くなる。
8.事業(農業生産)の継承がし易くなる。
 
株式会社が農業をする場合には従業員として勤めながら農業の基礎を学べるという非常に
大きなメリットがあると思います。新規就農がし易いということです。
農業の基礎を学んで強い意志があれば、独立して別の株式会社を作って農業を自営することも
可能だと思います。
 
逆に株式会社が労働力を抑えるために「外国人」を「研修生」として安易に受け入れることが
問題になると思います。
本当の意味での「研修」であれば、日本の農業技術を外国に広めるということで良いのですが
安い労働力として外国人を見ることはもっと大きな議論をしたうえで行うべきだと思っています。
(またまた、独断と偏見でした)

2011.03.01(火)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業雑感 耕作面積拡大

 
農業雑感の第2回です。
日本の耕作面積の拡大は進むのでしょうか?
農地の集約化を目指した規制緩和は行われています。
 
しかしながら、筆者はそう簡単に集約化が進むとは思っていません。
(ここからが、かなりの独断と偏見です。)
 
現在の農業政策の大きな柱は「農家の所得補償政策」です。
この政策は「小規模な農家にも同じように所得補償する」というものです。
つまり、細々と小規模でも農業を続けられるということです。
このため、小規模農家が農地を売ったり、生産委託をする必要がないのです。
この背景には「先祖代々の農地」を手放せないという倫理感もあります。
 
現在の日本の政策は「農地の集約化」と「小規模農家の生き残り」という二律背反となって
いると言っても良いと思います。
フランスでは1980年代までは今よりもずっと小規模な農業だったといいます。
それを土地公社を通じて「農地の集約を半ば強制的」に行ったそうです。
その結果、50ha以下の農家の割合が6割から2割に減ったそうです。
資本主義の根本である所有権侵害という面もありますが、農業の競争力強化のために必要だ
としてあえて行ったのだと思います。
ドイツでは1960年代には2ha 程度であったものが、現在は17ha 程度まで大規模しています。
 
日本でも本気で大規模化をするつもりになったら、かなり強硬な政策を行わなければならないと
思います。
しかし、農民票をあてにしている今の2大政党ではなかなか難しいと思います。
民主党の所得補償制度だって農民票を確保するために導入したというのが本当のところでは
ないかと思わざるをえません。(かなりの独断と偏見です)
 
 

2011.02.26(土)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業雑感 耕作面積

 
ここ2週間、種々の事情でブログの更新ができませんでした。
これからは出来るだけ毎日更新したいと考えています。
 
そのためにも今回から「農業雑感」という題で不定期ですがブログを書いていきたいと思います。
これは㈱野菜工房が認定農業者として「農業」にかかわっているので、筆者自身が感じる
日本の農業について書いてみようというものです。
「雑感」なので、筆者自身の「独断と偏見」もずいぶん入ると思います。
読んで頂いた方でご意見があればどんどんコメントを投稿して頂きたいと思います。
 
第1回は「耕作面積」です。
日本全体の「一戸当の耕作面積」は1.2ha です。
外国の資料を見ると「ヨーロッパ全体23.8ha」 工業国のイメージの強い「ドイツ16.6ha」です。
「アメリカ110.7ha」「オーストラリア220.2ha」なので日本の耕作面積がいかに小さいかが
分かると思います。
北海道のような「大規模農業」でも「北海道平均で17.2ha」でドイツと同じくらいです。
北海道の中でも大きな十勝地方で「37.9ha」ですから、アメリカの3分の一でヨーロッパ平均を
ちょっと越えた位です。
(これらの数字は統計を取った年が場所によって違っているので細かい数字ではなくイメージ
 で理解してもらった方が良いと思います)
 
日本の農業は耕作面積が非常に小さいということです。
そして、米を作っている農家の数が圧倒的に多いことが特徴だと思います。
また、耕作面積が小さいにもかかわらず「機械化」は進んでいます。
そのため、機械への投資コストがかなり大きな負担になっていることが指摘されています。
 
政府も「農地の集積」ということを目標にあげています。
小さな耕作地に高価な専用機械(年に一度しか動かないものもある)を導入している兼業農家
が所得補償を受けているという現実なのでしょうね。(ごめんなさい。非常に独断と偏見です)