2011.05.05(木)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業への投資 IT化

 
農業に対するコメントでよく言われるのが「農業のIT化」です。
筆者の考え方では、通常の農業でIT化できるのは投入コストの管理だけだと思っています。
栽培作業自体をすることはほとんど無理なのです。
 
IT化というのは単なる管理データを採るだけではありません。
本来のIT化とは「状態把握(センサリング)」「分析」「対応(リアクション)」がセットです。
通常の農業では最後の「対応(リアクション)」ができないと考えています。
 
状況把握(センサリング)は農場のあちこちにセンサーを置いて情報収集はできます。
「温度」「湿度」「水分量(雨量)」「日照時間」「PH」などを自動的に計測することは可能なのです。
また、その情報を「分析」することも可能です。
「温度が高過ぎる」「雨量が足りない」「曇りばかりで日照時間が少ない」などの分析はできますし、
もうちょっと「温度を上げよう」「雨を降らせよう」「太陽光をもっと当てよう」という「対応策」も
立てられるます。
でも実際に露地の農業でどうやって「温度を上げるのでしょうか」「雨が降らせますか」「雲を
取り除けますか」。対応(リアクション)が採れる範囲が極端に少ないのです。
 
通常の農業でのIT化は「計画通りに収穫ができなかった理由(言訳)」を収集しているに過ぎない
のです。
 
温室(ハウス)であれば、多少は対応(リアクション)が取れます。
冬ならば重油を燃やして温度を上げることができます。日照が強すぎれば遮光カーテンを
かけることも可能です。それでも、対応できるレベルはかなり限られます。
夏場のハウス内の温度は外気温より5~7℃位高くなります。
 
IT化の効果をあげるためには私たちのような「完全閉鎖型植物工場」でなければ無理です。
そして、IT化するためにはマニュアル化という工程が必要ですが、このためには商業規模の
植物工場を運営する「ソフト」が十分確立している必要があるのです。
 
 
 

2011.05.02(月)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業への投資 栽培試験

 
今回は「栽培試験」について個人的な意見を述べたいと思います。
前回までに「不確定要素」を出来るだけ排除することが農業への投資のポイントだと説明
しました。この不確定要素が今回の課題である「栽培試験」にも大きく影響しています。
 
栽培試験というのは農業では重要なものと位置づけられています。
日本では公的な「農業試験場」というのがあり、そこで世界的に見ても高度な研究・試験が
行われています。
個々の農家が行うには「費用」と「時間」が掛かり過ぎるので公的機関が行っているのです。
 
なぜ、費用と時間が掛かるのか?
それは露地の農業では「基本的に年に一回しか収穫できない」「試験中でも不確定要素が
関与」するので結果の評価が難しいという理由があります。
このために、「時間」をかけて試験して、結果の評価はアカデミックな修正を加えなければならない
ためです。
 
分かりやすく具体的に言えば、「ある品種の収穫量」を試験するのに「今年は雨が少なかった」
「気温が低かった」という不確定要素が関与してきます。
「比較対象(コントロール)」として別の品種をなるべく同じ条件になるような条件で栽培する
のですが、露地なので完全に同じ条件とはいきません。
結果として「収穫が多かった」「期待ほどではなかった」という評価をするには「比較対象」と
比べているとはいえ「最低3回」は行わなければならないというのが一般的です。
原則として「年に一回の収穫」ですから、最低3年はかかるということです。
これが従来型農業の実態です。
 
一方、私たちのような「完全閉鎖型植物工場」では「環境は原則として同じ」に出来るということと
一年に365回(これはちょっと極端な言い方になりますが)は播種(種まき)をして365回収穫
できるわけですから「試験の結果評価」が非常に早くなります。
また、個々の会社で試験をすることも比較的安価に早く出来ます。
つまり、個々の会社が自分たちの考え方に従って「品種」「肥料」「光源」「温度」などの試験が
出来るので会社ごとの特徴が出し易くなります。
 
 
 

2011.04.29(金)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業への投資 販売価格

 
前回の「農業への投資」では農業(特に露地栽培)の「不確定要素」として「天候」を挙げました。
今回は生産物の「販売価格」を挙げてみたいと思います。
 
従来の農業は生産された農産物を「農協」「青果市場」を通して販売しています。
この仕組だと出荷時点で販売価格が分かりません。
出荷時点で分からないということは、当然ですが生産を始める時やどんな品目を生産するかと
いう計画段階で「いくらで売れるか?」は分からないということです。
 
通常の工業生産品では生産段階から「いくらで売れるか(予算)」、「いくらで売るか(意志)」と
いう非常に重要なポイントについて計画が立っています。
ところが、従来の農業では「いくらで売れるか(予算)」「いくらで売るか(意志)」は全て「青果市場」
に任せているのです。売れてから「いくらでしたよ(過去形)」と連絡が来るのです。
つまり「あなた任せ」なのです。
 
自分たちで「販売価格」を決めらないシステムなのです。
それに加えて、市場の「需要と供給」という「美しい言葉」に操られて「価格が大幅に上下」します。
自分たちに「価格決定権」がなく、価格も相場で「乱高下」しかねないという非常に不確定要素の
多い販売形態なのです。
 
これでは生産計画で利益を予算化することは不可能です。
このような工業生産では信じられないことが農業の世界では「当たり前」だと信じられてきました。
それでも最近は「農業法人」を中心に「市場を通さない」で需要家に直接販売する方法が少しづつ
採られるようになってきました。 農協の直売所を通した販売も価格決定権は農家ですね。
 
他産業から農業へ投資する際に、この「価格決定権」を農業者が有していることが次の重要な
ポイントですね。
 
 
 
 

2011.04.28(木)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業への投資 天候

 
今回は農業分野への投資について筆者の意見を述べたいと思います。
私たちは株式会社なので、私たちに投資してくれた株主がいます。
このように農業に従事する株式会社に投資する場合と農地を買ったり借りたりして農作業を
自分で行うのも広義の農業への投資だと思います。
 
投資をする際には「なるべく不確実な要素」を排除したうえで投資を行うのが基本です。
この点において「農業」はちょっと他の業種とは違います。
つまり、自然環境の中で生産活動をする露地栽培では「天気」に左右される割合が非常に高い
のです。もちろん、他の業種にも「天気」に影響されるものはあります。
 
建設業なども「天気」に左右されるものです。
落語の話に「大工殺すにゃ刃物は要らぬ。雨の10日も降ればよい。」というのがあります。
これは昔の話ですから「宵越しの金は持たない」という江戸の職人は10日も収入がなければ
食えなくなってしまうという例ですが、今でも建設業の人は雨が降るとスケジュールが遅れる
ということは良くあります。そのために、スケジュールにはある程度の余裕を持たせているのです。
 
しかし、露地の農業はもっと天気に影響を受けるのです。
「雨が少ない」と乾燥しますし、「雨ばかり降る」と農作業が進まない、「気温が低い」と植物の
成長が遅くなり、「気温が高すぎる」と成長に異常(徒長しすぎるなど)が出ます。
そして、台風や「遅霜」「早霜」で収穫が大きく影響を受ける。
建設業と決定的に違うのは「成長が遅れる」と季節が変わってしまうために収穫量に大きく影響
することです。
建設業では「スケジュールが遅れた」ことにより施主(注文者)への納入が遅れるのですが、建物が
不完全になってしまうということはないと思います。
(建設業の方からはそんな甘くないと怒られるかもしれませんが。)
 
農業(特に露地栽培)は非常に微妙なバランスの中で成り立っているのです。
その地域の気候に合った品目を作っているので気候(天気)がいつもの年と違ってしまうと
本来その場所に適した品目が「その年に限っては不適な品目」になってしますのです。
収穫に大きな影響がでるということですね。
天気という「不確定な要素」が大きな影響を与えるのが農業(特に露地栽培)なのです。
 
その点で私たちのような「完全閉鎖型植物工場」は天気の変動には影響を受けません。
その点で従来型の農業とは一線を画していると言えます。

2011.03.04(金)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 農業雑感 株式会社化

 
農業者の株式会社化について考えてみたいと思います。
この問題を出すと、「株式会社は営利だから儲からないと思うとすぐに農業をやめてしまうので
耕作放棄地が増える」ということをいう人がいます。
また、「転用目的や投機目的で農地を購入する」などという人もいます。
 
筆者はこれらの問題は株式会社だけにある問題だとは思いません。
これらは農地の売買をある程度規制することで避けられると思います。
 
株式会社化することは上記のような問題よりも、次のようなメリットの方が多いと思います。
1.生産コストが明確になる。特に人件費。
2.資本と労働が区別されるために新規就農者が増える。
3.耕作地の拡大が容易になる。(生産受託等)
4.農業機械の効率的活用がしやすくなる。(大規模化も含めて)
5.農業者の労働条件が明確になる。
6.直売ルート開発などの販売方式の多様化が図れる。
7.大型投資がし易くなる。
8.事業(農業生産)の継承がし易くなる。
 
株式会社が農業をする場合には従業員として勤めながら農業の基礎を学べるという非常に
大きなメリットがあると思います。新規就農がし易いということです。
農業の基礎を学んで強い意志があれば、独立して別の株式会社を作って農業を自営することも
可能だと思います。
 
逆に株式会社が労働力を抑えるために「外国人」を「研修生」として安易に受け入れることが
問題になると思います。
本当の意味での「研修」であれば、日本の農業技術を外国に広めるということで良いのですが
安い労働力として外国人を見ることはもっと大きな議論をしたうえで行うべきだと思っています。
(またまた、独断と偏見でした)