2011.09.13(火)

未来の野菜を作る 無農薬野菜 AAAレタス 食料自給率の不思議

 
前回のブログで食料自給率には「カロリーベース」のものと「生産額ベース」のものがあると
報告しました。これ以外にも「生産量ベース」も考えられると思います。
 
実は日本が前面に出している「カロリーベース」の食料自給率の統計は他の国にはありません。
日本以外の国では「カロリーベース」の統計は発表していないのです。
 
それでは、なぜ「他国」のカロリーベースの「資料」と比較されているのでしょうか?
実は農水省の役人が各国で発表されている農業統計とか貿易統計などから「推測」している
のです。
筆者が読んだ本では「この推測資料を作るために農水省は膨大な作業をしている」と書いて
ありました。
 
なぜ、他国では作成・発表していない「カロリーベース」で日本は「食料自給率」を議論しようと
しているのでしょうか?
ここからは「本」で説明されているものの受け売りです。
日本の農水省は「低い」食料自給率を「強調」することで「危機感」を煽り、農水省予算を拡大
することを目標としているのです。
ひとたび貿易が止まるような事態が発生すると日本の国民は「餓死」するぞ、と脅しているのです。
 
カロリーベースの意図するところは「人間が最低限生きているために必要なカロリー」をどれだけ
国内で生産しているかを表しているというものです。
この議論をすると「本」が書けるくらいの議論になるようです。
 
野菜を生産している人間からの意見を言うと、この「カロリーベース」国内生産に野菜はほとんど
貢献していないということです。
野菜は根菜まで含めても「85%」(多分生産額)は国産と言われていますが、カロリーが少ない
ためにほとんどカウントされていないのです。これはちょっと不思議です。
飢餓の問題を議論しているのだから、カロリーの低い野菜は関係ないのでしょうか?
 
最後に、興味のある事実として食料自給率の発表の歴史を書きます。
 1965年 日本で「食料自給率」の統計の発表を始める 
        この時は各国と同じ「生産額ベース」の統計
 1983年 「生産額ベース」の統計に加えて、「カロリーベース」統計を並列で発表開始  
 1995年 「生産額ベース」の統計発表をやめて、「カロリーベース」だけに
 
1983年は「農産物貿易自由化」が叫ばれ「牛肉」「オレンジ」が話題になった年です。
1995年は「GATTウルグアイラウンド」で米の輸入が議論された年です。
農水省の意図を感じます。